それだけに、其頃田舎から上って来た一人のおばが、源氏の五十余巻を、箱入のまま、他の物語なども添えて、贈ってよこして呉れたときの少女の喜びようというものは、言葉には尽せなかった。
少女は昼はひねもす、夜は目の醒めているかぎり、ともし火を近くともして几帳のうちに打ち臥しながら、そればかりを読みつづけていた。
夕顔、浮舟、――そう云った自分の境界にちかい、美しい女達の不しあわせな運命の中に、少女は好んで自分を見出していた。
それだけに、其頃田舎から上って来た一人のおばが、源氏の五十余巻を、箱入のまま、他の物語なども添えて、贈ってよこして呉れたときの少女の喜びようというものは、言葉には尽せなかった。
少女は昼はひねもす、夜は目の醒めているかぎり、ともし火を近くともして几帳のうちに打ち臥しながら、そればかりを読みつづけていた。
夕顔、浮舟、――そう云った自分の境界にちかい、美しい女達の不しあわせな運命の中に、少女は好んで自分を見出していた。