その火事と共に、大納言の姫君と思われて可哀がられていた猫もゆくえ知れずになってしまった。
――ひとまず、立退いた先の屋形は、非常に狭苦しくて、木なんぞはなんにも無かった。
そのかわり、隣家の生い茂った木立が目のあたりに見え、何かの花の匂などが風につれてこちらまで漂って来るにつけても、少女は昔の木立の多かった屋形を、――又、それと一しょに焼け死んだのかも知れない猫の事などを、切ない程あざやかに蘇らせたりしていた。
その火事と共に、大納言の姫君と思われて可哀がられていた猫もゆくえ知れずになってしまった。
――ひとまず、立退いた先の屋形は、非常に狭苦しくて、木なんぞはなんにも無かった。
そのかわり、隣家の生い茂った木立が目のあたりに見え、何かの花の匂などが風につれてこちらまで漂って来るにつけても、少女は昔の木立の多かった屋形を、――又、それと一しょに焼け死んだのかも知れない猫の事などを、切ない程あざやかに蘇らせたりしていた。