新しい普請の出来上った三条の屋形では、古い池と共に焼け残った藤が、今年はどういうものか、例年になく見事な花をつけた。
それが一層屋形の人けの絶えたのを目立たせているような単調な日々の中で、少女は又昔のとおりに、物語を見ては、夢みがちに暮らしていた。
昔風の父母は、勿論、まだこの少女を誰かにめあわせようなぞとは考えもしなかった。
新しい普請の出来上った三条の屋形では、古い池と共に焼け残った藤が、今年はどういうものか、例年になく見事な花をつけた。
それが一層屋形の人けの絶えたのを目立たせているような単調な日々の中で、少女は又昔のとおりに、物語を見ては、夢みがちに暮らしていた。
昔風の父母は、勿論、まだこの少女を誰かにめあわせようなぞとは考えもしなかった。