父が或秋の除目に常陸の守に任ぜられた時には、女はいつか二十になっていた。
女はこん度は母と共に京に居残って、父だけが任国に下ることになった。
「ことによると、もうお前達にも逢えないかも知れない」――そんな心細そうな事ばかりを云っている年老いた父を一人で旅に出すのは、勿論、女には何よりもつらかった。
父が或秋の除目に常陸の守に任ぜられた時には、女はいつか二十になっていた。
女はこん度は母と共に京に居残って、父だけが任国に下ることになった。
「ことによると、もうお前達にも逢えないかも知れない」――そんな心細そうな事ばかりを云っている年老いた父を一人で旅に出すのは、勿論、女には何よりもつらかった。