そうしてそのまま二人の傍にすわりながら、そのどちらに向かってともつかず、世の中のあわれな事どもをそれからそれへと言い出して、女達にも真面目に問いかけたりするので、女もついそれに誘われて、いつか二こと三こと詞を交わしていた。
「まだ私の知らないこういうお方がいられたのですね――」などと珍らしそうに男は女の方を向いて云って、いつまでも気もち好さそうに話し込み、なかなか其処を立ち上がりそうにもなかった。
星の光さえ見えない位に真っ暗な晩で、外にはときどき時雨らしいものが、さっと木の葉にふりかかる音さえ微かにし出していた。