それは私が斎宮の御裳著の勅使で伊勢へ下った折の事です。
伊勢に下っておる間、殆ど毎日、雪に降りこめられておりました。
ようやく任も果てたので、その明けがた京へ上ろうかと思って、お暇乞に参上いたしますと、ただでさえいつも神々しいような御所でしたが、その折は又円融院の御世からお仕えしているとか云う、いかにも神さびた老女が居合わせて、昔の事などなつかしそうに物語り出し、しまいにはよく調べた琵琶までも聞かせてくれました。
それは私が斎宮の御裳著の勅使で伊勢へ下った折の事です。
伊勢に下っておる間、殆ど毎日、雪に降りこめられておりました。
ようやく任も果てたので、その明けがた京へ上ろうかと思って、お暇乞に参上いたしますと、ただでさえいつも神々しいような御所でしたが、その折は又円融院の御世からお仕えしているとか云う、いかにも神さびた老女が居合わせて、昔の事などなつかしそうに物語り出し、しまいにはよく調べた琵琶までも聞かせてくれました。