暁がた、男は一人で庭に降り立って、ほんのりとかかった繊い月を仰ぎ仰ぎ、読経などをしながら、履音をしのばせてそぞろ歩きしていた。
細殿の前には丁子の匂が夜気に強く漂っていた。
男はそれへちょっと目をやりながら、遣戸の前を通り過ぎようとした時、ふいとその半開きになっていた遣戸の内側に一人の女のいるらしいけはいを捉えた。
暁がた、男は一人で庭に降り立って、ほんのりとかかった繊い月を仰ぎ仰ぎ、読経などをしながら、履音をしのばせてそぞろ歩きしていた。
細殿の前には丁子の匂が夜気に強く漂っていた。
男はそれへちょっと目をやりながら、遣戸の前を通り過ぎようとした時、ふいとその半開きになっていた遣戸の内側に一人の女のいるらしいけはいを捉えた。