男はそれと殆ど同時に、遣戸の奥へ女がすべり込んで往くけはいに気がついた。
男は殿上人たちに拉せられながら、細殿の前に漂っていた丁子の匂を気にでもするように、その方を見返りがちに、再び履音をさせながら其処を立ち去って往った。
女が、前の下野の守だった、二十も年上の男の後妻となったのは、それから程経ての事だった。
男はそれと殆ど同時に、遣戸の奥へ女がすべり込んで往くけはいに気がついた。
男は殿上人たちに拉せられながら、細殿の前に漂っていた丁子の匂を気にでもするように、その方を見返りがちに、再び履音をさせながら其処を立ち去って往った。
女が、前の下野の守だった、二十も年上の男の後妻となったのは、それから程経ての事だった。