車などのはいって来られそうもないところだのに誰がそんなところに自動車を乗り入れたのだろう、道でも間違えたのかしらと思いながら、丁度私は二階の部屋にいたので窓から見下ろすと、雑木林の中にはさまってとうとう身動きがとれなくなってしまっている自動車の中から、森さんが一人で降りて来られた。
そして私のいる窓の方をお見上げになったが、丁度一本の楡の木の陰になって、向うでは私にお気づきにならないらしかった。
それに、うちの庭と、いまあの方の立っていらっしゃる場所との間には、薄だの、細かい花を咲かせた灌木だのが一面に生い茂っていた。