それまでも二三度そんな話を他から頼まれて持ってきたが、いつも私達が相手にならなかった高輪のお前のおばが、この夏もまた新しい縁談を私のところに持ってきたが、丁度森さんが北京でお亡くなりになったりした時だったので、私も落ち着いてその話を聞いてはいられなかった。
しかし二度も三度もうるさく云って来るものだから、しまいには私もつい面倒になって、菜穂子の結婚のことは当人の考えに任せる事にしてありますから、と云って帰した。
ところがお前が八月になって私と入れ代りに東京へ帰ったのを知ると、すぐお前のところに直接その縁談を勧めに来たらしかった。