――昔から菜穂子は何か気に入らない事でもあると、誰の前でも構わずにあんな空虚な眼ざしをしだす習癖のあった事を、彼は或日ふと何かの事から思い出した。
「そうだ、こないだあの人がなんだが不為合せなような気がひょいとしたのは、事によるとあのときのあの人の眼つきのせいだったのかも知れない。
都築明はそんな事を考え出しながら、暫く製図の手を休めて、事務所の窓から町の屋根だの、その彼方にあるうす曇った空だのを、ぼんやりと眺めていた。
――昔から菜穂子は何か気に入らない事でもあると、誰の前でも構わずにあんな空虚な眼ざしをしだす習癖のあった事を、彼は或日ふと何かの事から思い出した。
「そうだ、こないだあの人がなんだが不為合せなような気がひょいとしたのは、事によるとあのときのあの人の眼つきのせいだったのかも知れない。
都築明はそんな事を考え出しながら、暫く製図の手を休めて、事務所の窓から町の屋根だの、その彼方にあるうす曇った空だのを、ぼんやりと眺めていた。