その赫かしい少年の日々は、七つのとき両親を失くした明を引きとって育てて呉れた独身者の叔母の小さな別荘のあった信州のO村と、其処で過した数回の夏休みと、その村の隣人であった三村家の人々、――殊に彼と同じ年の菜穂子とがその中心になっていた。
明と菜穂子とはよくテニスをしに行ったり、自転車に乗って遠乗りをして来たりした。
が、その頃から既に、本能的に夢を見ようとする少年と、反対にそれから目醒めようとする少女とが、その村を舞台にして、互に見えつ隠れつしながら真剣に鬼ごっこをしていたのだった。
その赫かしい少年の日々は、七つのとき両親を失くした明を引きとって育てて呉れた独身者の叔母の小さな別荘のあった信州のO村と、其処で過した数回の夏休みと、その村の隣人であった三村家の人々、――殊に彼と同じ年の菜穂子とがその中心になっていた。
明と菜穂子とはよくテニスをしに行ったり、自転車に乗って遠乗りをして来たりした。
が、その頃から既に、本能的に夢を見ようとする少年と、反対にそれから目醒めようとする少女とが、その村を舞台にして、互に見えつ隠れつしながら真剣に鬼ごっこをしていたのだった。