今の為事をやめてしまって、さてその自分にすぐ新しい人生を踏み直す気力があるかどうか自分自身にも分かっていない事に気づくと、こんどは所長の勧告に従って、暫く何処かへ行って養生して来よう、そうしたら自分の考えも変るだろうと、咄嗟に思いついたのだった。
明は一人になると、又沈欝な顔つきになって、人の好さそうな所長が彼の傍を去ってゆく後姿を、何か感謝に充ちた目で眺めていた。
三村菜穂子が結婚したのは、今から三年前の冬、彼女の二十五のときだった。
今の為事をやめてしまって、さてその自分にすぐ新しい人生を踏み直す気力があるかどうか自分自身にも分かっていない事に気づくと、こんどは所長の勧告に従って、暫く何処かへ行って養生して来よう、そうしたら自分の考えも変るだろうと、咄嗟に思いついたのだった。
明は一人になると、又沈欝な顔つきになって、人の好さそうな所長が彼の傍を去ってゆく後姿を、何か感謝に充ちた目で眺めていた。
三村菜穂子が結婚したのは、今から三年前の冬、彼女の二十五のときだった。