明は一人になると、又沈欝な顔つきになって、人の好さそうな所長が彼の傍を去ってゆく後姿を、何か感謝に充ちた目で眺めていた。
三村菜穂子が結婚したのは、今から三年前の冬、彼女の二十五のときだった。
結婚した相手の男、黒川圭介は、彼女より十も年上で、高商出身の、或商事会社に勤務している、世間並に出来上った男だった。
明は一人になると、又沈欝な顔つきになって、人の好さそうな所長が彼の傍を去ってゆく後姿を、何か感謝に充ちた目で眺めていた。
三村菜穂子が結婚したのは、今から三年前の冬、彼女の二十五のときだった。
結婚した相手の男、黒川圭介は、彼女より十も年上で、高商出身の、或商事会社に勤務している、世間並に出来上った男だった。