明には停車場から村までの途中の、昔と殆ど変らない景色が何とも云えず寂しい気がした。
それはそんな昔のままの景色に比べて彼だけがもう以前の自分ではなくなったような寂しい心もちにさせられたばかりではなく、その景色そのものも昔から寂しかったのだ。
――停車場からの坂道、おりからの夕焼空を反射させている道端の残雪、森のかたわらに置き忘れられたように立っている一軒の廃屋にちかい小家、尽きない森、その森も漸っと半分過ぎたことを知らせる或岐れ道(その一方は村へ、もう一方は明がそこで少年の夏の日を過した森の家へ通じていた……)、その森から出た途端旅人の眼に印象深く入って来る火の山の裾野に一塊りになって傾いている小さな村……