殊にその姉のおようと云うのが若い頃その美しい器量を望まれて、有名な避暑地の隣りの村でも一流のMホテルへ縁づいたものの、どうしても性分から其処がいやでいやで一年位して自分から飛び出して来てしまった話なぞを聞かされていたので、明は何となくそのおように対しては前から一種の関心のようなものを抱いていた。
が、そのおように今年十九になる、けれどもう七八年前から脊髄炎で床に就ききりになっている、初枝という娘のあった事なぞは此度の滞在ではじめて知ったのだった。
そう云う過去のある美貌の女としては、おようは今では余りに何でもない女のような構わない容子をしていた。