堀辰雄 『菜穂子』 露台に出て見ても、近くの村々の物音らしいものが何処か遠くからのように聞えて来るばかりだった。 ときどき風が木々の香りを翻りながら、彼女のところまでさっと吹いて来た。 それが云わば此処で許される唯一の生のにおいだった。 堀辰雄の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア