……ああ、なんていい香りなんだろう……」
或日、菜穂子が診察を受けに階下の廊下を通って行くと、二十七号室の扉のそとで、白いスウェタアを着た青年が両腕で顔を抑さえながら、溜まらなそうに泣きじゃくっているのを見かけた。
重患者の許嫁の若い娘に附添って来ている、物静かそうな青年だった。
……ああ、なんていい香りなんだろう……」
或日、菜穂子が診察を受けに階下の廊下を通って行くと、二十七号室の扉のそとで、白いスウェタアを着た青年が両腕で顔を抑さえながら、溜まらなそうに泣きじゃくっているのを見かけた。
重患者の許嫁の若い娘に附添って来ている、物静かそうな青年だった。