「あの辺の森ももとは残らず牡丹屋の持物でしたが、二三年前にみんな売り払ってしまって……」早苗は何気なくそう云ってしまってから、自分の云い方に若しや彼の気を悪くするような調子がありはしなかったかと思った。
が、明はなんとも云わずに、唯、さっきから空を見つめ続けているその眼つきを一瞬切なげに光らせただけだった。
彼は此の村で一番由緒あるらしい牡丹屋の地所もそうやって漸次人手に渡って行くより外はないのかと思った。
「あの辺の森ももとは残らず牡丹屋の持物でしたが、二三年前にみんな売り払ってしまって……」早苗は何気なくそう云ってしまってから、自分の云い方に若しや彼の気を悪くするような調子がありはしなかったかと思った。
が、明はなんとも云わずに、唯、さっきから空を見つめ続けているその眼つきを一瞬切なげに光らせただけだった。
彼は此の村で一番由緒あるらしい牡丹屋の地所もそうやって漸次人手に渡って行くより外はないのかと思った。