菜穂子も姑と一しょにそれを見送っていると、傍にいた看護婦の一人がそっと彼女に、その若い農林技師は自分がしかけて来た研究を完成して来たいからと云って医師の忠告もきかずに独断で山を下りて行くのだと囁いた。
「まあ」と思わず口に出しながら、菜穂子は改めてその若い男を見た。
彼だけはもう背広姿だったので、ちょっと見たところは病人とは思えない位だったが、よく見ると手足の真黒に日に灼けた他の患者達よりもずっと痩せこけ、顔色も悪かった。
菜穂子も姑と一しょにそれを見送っていると、傍にいた看護婦の一人がそっと彼女に、その若い農林技師は自分がしかけて来た研究を完成して来たいからと云って医師の忠告もきかずに独断で山を下りて行くのだと囁いた。
「まあ」と思わず口に出しながら、菜穂子は改めてその若い男を見た。
彼だけはもう背広姿だったので、ちょっと見たところは病人とは思えない位だったが、よく見ると手足の真黒に日に灼けた他の患者達よりもずっと痩せこけ、顔色も悪かった。