「気圧なんかが急に変ったりすると、あんな人達の中からも喀血したりする人がすぐ出るのよ。
ああして患者同志が落ち合ったりすると、こんどは誰の番だろうと思いながら、それが自分の番かも知れない不安だけはお互に隠そうとし合うのね、だから元気というよりか、寧ろはしゃいでいるだけだわ。
菜穂子はそんな彼女らしい独断を下しながら、自分自身も姑にはすっかり快くなったように見え、こんな山の療養所にいつまでも一人で居るのを何かと云われはすまいかと気づかいでもするように、自分の左の肺からまだラッセルがとれないでいる事なんぞを、いかにも不安そうに説明したりした。