彼は妻の枕もとに近づき、蛾を追い払って、あかりを消す前に、まぶしそうに目をつぶっている彼女の眼のまわりの黒ずんだ暈をいかにも痛々しそうに見やった。
「まだおやすみになれないの?
暗がりの中から菜穂子はとうとう自分の寝台の裾の方でいつまでもズック張のベッドを軋ませている夫の方へ声をかけた。
彼は妻の枕もとに近づき、蛾を追い払って、あかりを消す前に、まぶしそうに目をつぶっている彼女の眼のまわりの黒ずんだ暈をいかにも痛々しそうに見やった。
「まだおやすみになれないの?
暗がりの中から菜穂子はとうとう自分の寝台の裾の方でいつまでもズック張のベッドを軋ませている夫の方へ声をかけた。