同時に彼には、今までの彼自身が急に無気味に思え出した。
もうあの瀕死の鳥のような病人の異様な眼つきも、それを知らず識らずに真似していたような自分自身のいましがたの眼つきもけろりと忘れ去り、唯、菜穂子の痛々しい眼ざしだけが彼の前に依然として鮮かに残っているきりだった。
汽車が雨あがりの新宿駅に著いた頃には、構内いっぱい西日が赤あかと漲っていた。
同時に彼には、今までの彼自身が急に無気味に思え出した。
もうあの瀕死の鳥のような病人の異様な眼つきも、それを知らず識らずに真似していたような自分自身のいましがたの眼つきもけろりと忘れ去り、唯、菜穂子の痛々しい眼ざしだけが彼の前に依然として鮮かに残っているきりだった。
汽車が雨あがりの新宿駅に著いた頃には、構内いっぱい西日が赤あかと漲っていた。