そんな事は四十近くになって彼の知った初めての経験といってよかった。
彼は自分の留守の間、母がどんなに不安になって自分の帰るのを待っているだろうかとときどき気になった。
その度毎に、そう云う母の苦しんでいる姿を自分の内にもう少し保っていたいためかのように、わざと帰るのを引き延ばした。
そんな事は四十近くになって彼の知った初めての経験といってよかった。
彼は自分の留守の間、母がどんなに不安になって自分の帰るのを待っているだろうかとときどき気になった。
その度毎に、そう云う母の苦しんでいる姿を自分の内にもう少し保っていたいためかのように、わざと帰るのを引き延ばした。