療養所のまわりには、どっちへ行っても日あたりの好い斜面がある。
菜穂子は毎日日課の一つとして、いつも一人で気持ちよく其処此処を歩きながら、野茨の真赤な実なぞに目を愉しませていた。
温かな午後には、牧場の方までその散歩を延ばして、柵を潜り抜け、芝草の上をゆっくりと踏みながら、真ん中に一本ぽつんと立った例の半分だけ朽ちた古い木にまだ黄ばんだ葉がいくらか残って日にちらちらしているのが見えるところまで歩いて行った。
療養所のまわりには、どっちへ行っても日あたりの好い斜面がある。
菜穂子は毎日日課の一つとして、いつも一人で気持ちよく其処此処を歩きながら、野茨の真赤な実なぞに目を愉しませていた。
温かな午後には、牧場の方までその散歩を延ばして、柵を潜り抜け、芝草の上をゆっくりと踏みながら、真ん中に一本ぽつんと立った例の半分だけ朽ちた古い木にまだ黄ばんだ葉がいくらか残って日にちらちらしているのが見えるところまで歩いて行った。