――それ以上にそれが彼女を困惑させていた。
云って見れば、それが現在の彼女の、不為合せなりに、一先ず落ち著くところに落ち著いているような日々を脅かそうとしているのが漠然と感ぜられ出していたのだ。
彼女よりももっと痛めつけられている身体でもって、傷いた翼でもっともっと翔けようとしている鳥のように、自分の生を最後まで試みようとしている、以前の彼女だったら眉をひそめただけであったかも知れないような相手の明が、その再会の間、屡々彼女の現在の絶望に近い生き方以上に真摯であるように感ぜられながら、その感じをどうしても相手の目の前では相手にどころか自分自身にさえはっきり肯定しようとはしなかったのだった。