山でしたように、襟巻ですっかり顔を包んだ菜穂子は、蝙蝠傘をさしかけて呉れる圭介には構わずに、ずんずん先に立って人込みの中へ紛れ込んで行った。
彼等は数寄屋橋の上でその人込みから抜けると、漸っとタクシイを見付け、麻布の奥にあるそのホテルへ向った。
虎の門からぐいと折れて、或急な坂をのぼり出すと、その中腹に一台の自動車が道端の溝へはまり込んで、雪をかぶった儘、立往生していた。
山でしたように、襟巻ですっかり顔を包んだ菜穂子は、蝙蝠傘をさしかけて呉れる圭介には構わずに、ずんずん先に立って人込みの中へ紛れ込んで行った。
彼等は数寄屋橋の上でその人込みから抜けると、漸っとタクシイを見付け、麻布の奥にあるそのホテルへ向った。
虎の門からぐいと折れて、或急な坂をのぼり出すと、その中腹に一台の自動車が道端の溝へはまり込んで、雪をかぶった儘、立往生していた。