自分も古代の物語を描こうというなら、そういう気高い心をもった娘のすがたをこそ捉まえようと努力しなくては。
でも、そういうもの、そういった悲劇的なものは、こんどの仕事がすんでからのことだ、こんど、こちらに滞在中に、古い寺や仏像などを、勉強かたがた、僕が心愉しく書こうというのには、やはり「小さき絵」位がいい。
まあ、最初のプランどおり、その位のものを心がけることにして、僕は万葉集をひらいたり埴輪の写真を並べたりしながら、十二時近くまで起きていて、五つか六つぐらい物語の筋を熱心に立ててみたが、どれもこれも、いざ手にとって仔細に見ていると、大へんな難物のように思えてくるばかりなので、とうとう観念して、寝床にはいった。