僕は再び木橋の方にもどり、しばらくまた自分の仕事のことなど考え出しながら、すこし気が鬱いで秋篠川にそうて歩いていたが、急に首をふってそんな考えを払い落し、せっかくこちらに来ていて随分ばかばかしい事だと思いながら、裏手から唐招提寺の森のなかへはいっていった。
金堂も、講堂も、その他の建物も、まわりの松林とともに、すっかりもう陰ってしまっていた。
そうして急にひえびえとしだした夕暗のなかに、白壁だけをあかるく残して、軒も、柱も、扉も、一様に灰ばんだ色をして沈んでゆこうとしていた。
僕は再び木橋の方にもどり、しばらくまた自分の仕事のことなど考え出しながら、すこし気が鬱いで秋篠川にそうて歩いていたが、急に首をふってそんな考えを払い落し、せっかくこちらに来ていて随分ばかばかしい事だと思いながら、裏手から唐招提寺の森のなかへはいっていった。
金堂も、講堂も、その他の建物も、まわりの松林とともに、すっかりもう陰ってしまっていた。
そうして急にひえびえとしだした夕暗のなかに、白壁だけをあかるく残して、軒も、柱も、扉も、一様に灰ばんだ色をして沈んでゆこうとしていた。