東の隅の小壁に描かれた菩薩の、手にしている蓮華に見入っていると、それがなんだか薔薇の花かなんぞのような、幻覚さえおこって来そうになるほどだ。
僕は模写の仕事の邪魔をしないように、できるだけ小さくなって四壁の絵を一つ一つ見てまわっていたが、とうとうしまいに僕もSさんの櫓の上にあがりこんで、いま描いている部分をちかぢかと見せて貰った。
そこなどは色もすっかり剥げている上、大きな亀裂が稲妻形にできている部分で、そういうところもそっくりその儘に模写しているのだ。
東の隅の小壁に描かれた菩薩の、手にしている蓮華に見入っていると、それがなんだか薔薇の花かなんぞのような、幻覚さえおこって来そうになるほどだ。
僕は模写の仕事の邪魔をしないように、できるだけ小さくなって四壁の絵を一つ一つ見てまわっていたが、とうとうしまいに僕もSさんの櫓の上にあがりこんで、いま描いている部分をちかぢかと見せて貰った。
そこなどは色もすっかり剥げている上、大きな亀裂が稲妻形にできている部分で、そういうところもそっくりその儘に模写しているのだ。