ともかくも、流離というものを彼女たちの哀しい運命としなければならなかった、古代の気だかくも美しい女たちのように、此の像も、その女身の美しさのゆえに、国から国へ、寺から寺へとさすらわれたかと想像すると、この像のまだうら若い少女のような魅力もその底に一種の犯し難い品を帯びてくる。
……そんな想像にふけりながら、僕はいつまでも一人でその像をためつすがめつして見ていた。
どうかすると、ときどき揺らいでいる瓔珞のかげのせいか、その口もとの無心そうな頬笑みが、いま、そこに漂ったばかりかのように見えたりすることもある。