あちこちに桃や桜の花がさき、一めんに菜の花が満開で、あまつさえ向うの藁屋根の下からは七面鳥の啼きごえさえのんびりと聞えていて、――まさかこんな田園風景のまっただ中に、その有名な古寺が――はるばると僕たちがその名にふさわしい物古りた姿を慕いながら山道を骨折ってやってきた当の寺があるとは思えなかったのである。
「なあんだ、ここが浄瑠璃寺らしいぞ。
僕は突然足をとめて、声をはずませながら言った。
あちこちに桃や桜の花がさき、一めんに菜の花が満開で、あまつさえ向うの藁屋根の下からは七面鳥の啼きごえさえのんびりと聞えていて、――まさかこんな田園風景のまっただ中に、その有名な古寺が――はるばると僕たちがその名にふさわしい物古りた姿を慕いながら山道を骨折ってやってきた当の寺があるとは思えなかったのである。
「なあんだ、ここが浄瑠璃寺らしいぞ。
僕は突然足をとめて、声をはずませながら言った。