「いや、もうこれが最後だ」とこちらの馭者が答えている。
……そのうち僕の橇が動きだして向うの橇とすれちがおうとするとき、突然、向うの馭者が何かはげしく自分の馬を叱したので、ひょいと例の穴からのぞいて見ると、道を避けようとして片がわの積雪のなかへ深くはいり込んでしまった橇を曳き出そうとして、一しょう懸命になっている馬は、ほとんど胸のあたりまで雪に埋っていた。
なんども前脚を雪のなかから引き抜こうとしてば、そこらじゅうに雪煙りをちらしていた。
「いや、もうこれが最後だ」とこちらの馭者が答えている。
……そのうち僕の橇が動きだして向うの橇とすれちがおうとするとき、突然、向うの馭者が何かはげしく自分の馬を叱したので、ひょいと例の穴からのぞいて見ると、道を避けようとして片がわの積雪のなかへ深くはいり込んでしまった橇を曳き出そうとして、一しょう懸命になっている馬は、ほとんど胸のあたりまで雪に埋っていた。
なんども前脚を雪のなかから引き抜こうとしてば、そこらじゅうに雪煙りをちらしていた。