ずいぶん昔から、いまのように、こうしてただ雪の山のなかにいること、――それだけをどんなに自分は欲して来たことだろう。
べつに雪の真只中でどうしようというのでもない。
――スポルティフになれない弱虫の僕は、ただこういう雪の中にじっとして、真白な山だの(――そう、山もそんなに大それたものでなくとも、丁度いま自分の前にあるような小品風なものでいい……)、真白な谷だの(――谷もあの谷で結構……)、雪をかぶったいくつかの木立のむれ(――あそこに立っている樺のような木などはなかなか好いではないか……)などをぼんやり眺めてさえいればよかった。