だが、僕みたいなものには難しいことらしいな。
――あれは、おととしの秋だったかな、ともかくもまあ小手しらべにと、何か小品を、ちょうど古代の人々がふいとした思いつきで埴輪をつくりあげたような気もちで、書いてやろうとおもって、古代の研究がてら、大和にやってきて、毎日寺々を見て歩いているうちに、なんだか日にまし気もちが重くるしくなって、とうとう或る夕方、もうその仕事をどう云ってやってことわろうかと考えるため散歩にいった高畑のあたりの築土のくずれが妙にそのときの自分の気もちにぴったりして、それから急に思いついて「曠野」という中世風なものがなしい物語を書いた。
主 あの小説は読んだよ。