客 割合に歩いたほうだろうが、ときどきこんなところでと、――本当に思いがけないような風景が急に目のまえにひらけ出すことがある。
この春も春日野の馬酔木の花ざかりをみて美しいものだとおもったが、それから二三日後、室生川の崖のうえにそれと同じ花が真っ白にさきみだれているのをおやと思って見上げて、このほうがよっぽど美しい気がしだした。
大来皇女の挽歌にある「石のうへに生ふる馬酔木を手折らめど……」の馬酔木はこれでなくてはとおもった。
客 割合に歩いたほうだろうが、ときどきこんなところでと、――本当に思いがけないような風景が急に目のまえにひらけ出すことがある。
この春も春日野の馬酔木の花ざかりをみて美しいものだとおもったが、それから二三日後、室生川の崖のうえにそれと同じ花が真っ白にさきみだれているのをおやと思って見上げて、このほうがよっぽど美しい気がしだした。
大来皇女の挽歌にある「石のうへに生ふる馬酔木を手折らめど……」の馬酔木はこれでなくてはとおもった。