字のよく読めないおばさんには、モオパスサンという片仮名だけはわかったが、それがどんな題の、どんなことを書いた本だかは、すこしもわからないのである。
私は震災後、しばらく父と二人きりで、東京から一里ばかり離れたY村で暮らしていた。
その小さな、汚い、湿気の多い村は、A川に沿っていた。
字のよく読めないおばさんには、モオパスサンという片仮名だけはわかったが、それがどんな題の、どんなことを書いた本だかは、すこしもわからないのである。
私は震災後、しばらく父と二人きりで、東京から一里ばかり離れたY村で暮らしていた。
その小さな、汚い、湿気の多い村は、A川に沿っていた。