そうなると、もうすっかりそれを本当のお父うさんだと思い込んで、その父の死ぬ日まで、そのまま、私は一ぺんもそんな事を疑ったりしたことはなかった。
その小梅の父が母と一しょになった頃は、それまでの放逸な生活を一掃したばかりのあとで、父はひどく窮迫していたらしい。
なんでもおばさんの話によると、母がはじめて向島のはずれのその家に訪れてみると、なにひとつ世帯道具らしいものもなくて、まるであばら家のようななかに、父はしょんぼりと鰥暮らしをしていたのだった。
そうなると、もうすっかりそれを本当のお父うさんだと思い込んで、その父の死ぬ日まで、そのまま、私は一ぺんもそんな事を疑ったりしたことはなかった。
その小梅の父が母と一しょになった頃は、それまでの放逸な生活を一掃したばかりのあとで、父はひどく窮迫していたらしい。
なんでもおばさんの話によると、母がはじめて向島のはずれのその家に訪れてみると、なにひとつ世帯道具らしいものもなくて、まるであばら家のようななかに、父はしょんぼりと鰥暮らしをしていたのだった。