いまの私には、父の死の前後から中絶しがちになっていた小説「幼年時代」を再び取り上げて、書きつづける気もちにはどうしてもなれないので、それはそれで打ち切り、こんど改めておばさんたちに聞いた話は、此処にはほんの拾遺のようなものとして附け加えておくに止めた。
私はいまこの稿を終えようとするとき、その田端へ往った数日後、私はまたふいと何かに誘われるような気もちで、東京に出て、ひとりで請地の円通寺を訪れた、六月のうすら曇った日のことを思い出す。
――父母の墓のまわりには、何かが、目に立つほど変っていた。
いまの私には、父の死の前後から中絶しがちになっていた小説「幼年時代」を再び取り上げて、書きつづける気もちにはどうしてもなれないので、それはそれで打ち切り、こんど改めておばさんたちに聞いた話は、此処にはほんの拾遺のようなものとして附け加えておくに止めた。
私はいまこの稿を終えようとするとき、その田端へ往った数日後、私はまたふいと何かに誘われるような気もちで、東京に出て、ひとりで請地の円通寺を訪れた、六月のうすら曇った日のことを思い出す。
――父母の墓のまわりには、何かが、目に立つほど変っていた。