このころ漸っとおれにはお母さんの事が身にしみて考えられるようになってきたのだ。
こんな場末の汚い寺の、こんな苔だらけの墓の中に、おまけに生前に見たこともないような人達と一しょになって、――と云うよりも、その佗びしい墓さえ、いまの私には、いわば、自分にとってかけがえのないものに思われた。
私はその墓を一巡してみた。
このころ漸っとおれにはお母さんの事が身にしみて考えられるようになってきたのだ。
こんな場末の汚い寺の、こんな苔だらけの墓の中に、おまけに生前に見たこともないような人達と一しょになって、――と云うよりも、その佗びしい墓さえ、いまの私には、いわば、自分にとってかけがえのないものに思われた。
私はその墓を一巡してみた。