そうして不二男さんと妻とがずんずんその新しい小径から中へはいって行ってしまってからも、私はなお暫くその入口に一人残ったまま、お隣りの三枝さんの別荘の、数本の松の木にちょっと一もと芒をあしらっただけの、生籬もなんにもない、瀟洒な庭を少し恨めしそうに見やりながら、いつまでも秦皮のステッキで砂を掘じっていた。
まあそれも仕方がなかろうと思って、漸っとみんなの跡からはいって行って見ると、もう先きに不二男さんのところに古くからいる爺やが来ていて雨戸などをすっかり明けておいてくれた。
裏の小屋も跡かたもなく取払われ、家のなかは去年から見ると見ちがえるように小ざっぱりとなっていた。