「あなたなぞは随分お古いから御存知でしょうが、この裏の通りにあったあの水車ですね。
――昔はあの裏通りのことを水車の道なんぞと外人達がいっていましたが――あの水車というのは、元来日向さんの御主人が拵えさせて、自分の別荘の方へ山水を引かせていたものなのですが、まあこの辺では昔からあれが唯一の水車でして、あの林の入口でごとんごとんと音を立てながら日ねもす廻っていた長閑な様子は何んとなく気持のいいものでした。
ところが、その日向さんの御主人が七八年前に急にお亡くなりになった。
「あなたなぞは随分お古いから御存知でしょうが、この裏の通りにあったあの水車ですね。
――昔はあの裏通りのことを水車の道なんぞと外人達がいっていましたが――あの水車というのは、元来日向さんの御主人が拵えさせて、自分の別荘の方へ山水を引かせていたものなのですが、まあこの辺では昔からあれが唯一の水車でして、あの林の入口でごとんごとんと音を立てながら日ねもす廻っていた長閑な様子は何んとなく気持のいいものでした。
ところが、その日向さんの御主人が七八年前に急にお亡くなりになった。