お嬢さんももう十七八におなりになっていましたが、テニスがお好きで、昔と変らずに同じ年頃のお友達を集めては、庭の一隅にあったテニスコオトで愉快そうに球を打ち合っていらっしゃるのが、往来からもダリヤやフランス菊なぞの咲き乱れた間に垣間見えました。
それから少し歩いて行って、こんどは林の入口に、あの亡くなられた御主人のお好きだった例の水車が、もう半分朽ちかけたまま、それでもまだどうにかこうにか廻転しながら昔の俤をとどめているのを目に入れますと、私なんぞでもああお気の毒だと何んということもなしに思ったものでした。
「爺や夫婦は旦那様が亡くなってからも、もとどおりに奥様のために働いていました。