それから少し歩いて行って、こんどは林の入口に、あの亡くなられた御主人のお好きだった例の水車が、もう半分朽ちかけたまま、それでもまだどうにかこうにか廻転しながら昔の俤をとどめているのを目に入れますと、私なんぞでもああお気の毒だと何んということもなしに思ったものでした。
「爺や夫婦は旦那様が亡くなってからも、もとどおりに奥様のために働いていました。
あなた達のこんどお借りになった家は、もと、その爺や夫婦に冬住まわせるようにお建てになったもので、夏だけ人に借し、その間爺やたちは日向さんの方で寝起きしていたのです。