その時分から爺やはまめにその家のまわりの空地に豆だの胡瓜だの葱だのの畑を作っていましたが、みんな御主人に召し上っていただくために丹誠したのだからといって、そこの家を借りた人にもつい鼻先にある畑のものには一切手を出させませんでした。
そんな事を知らずに、その人達が自分の畑のような気になって勝手に葱なぞをとったりしていた事が分かろうものなら、爺やは恐ろしい権幕で呶鳴りこんだりしたものでした。
日向さんの奥さんは葱一本ぐらいのことで、その方たちに申訣けがないと一人で気を揉んでおいででしたが、別に爺やを叱ることもせずにそのままにして置かれたようでした。