「そんな事があってから、一日おいて、三日目の朝、また三枝さんがいつものように一人でヴェランダで新聞を読んでいますと、何か向いの庭の中で聞きなれない人々の声に雑って爺やのしゃがれた声が聞えてくるので、どうしたのだろうと思っていました。
そのうち爺やが二三人の見なれない男たちに指図しながら、そこらの植木を引っこ抜かせているのが見えて来ました。
それと同時に、そこいらにはその春別荘の売れたとき爺やがちょっとした楓だとか、そのほか小さな植木だけをこちらに移し植えておいた、それをいま植木屋を呼んで売り払おうとしているのだという事が分かりました。