『お前は好い娘があるんだから其処へ行け、おれ一人でならどうとでもして暮らして見せるから』とこの頃爺やが何かというとそんな事ばかり言ったという、おとといの婆さんの話もふいと思い出されて、三枝さんの奥さんは、あんな気強そうな爺やでもよく年をとってからそうやって一人で暮らす気になれるものだと思って、そんな植木屋たちの仕事をいつまでも見ていました。
――何んでも、あとで聞きますと、そのとき売った植木の代が二十何円とかになったそうでした。
まあそれだけあれば、こんな村では爺やひとりでならその冬を結構越すぐらいの事は出来たでしょう。