「しかしその若い息子さん達には、こんな山の避暑地なぞ面白くもないと見えて、八月頃、いつも突然真夜中なんぞにお友達を大ぜい連れて自動車で乗りつけ、一週間ばかり騒いで暮らして、それからまた嵐のように帰って行っておしまいです。
そうしてあとにはまだこの土地に馴染のない他所者の別荘番が残って、村人からも忘れられたように、ひっそりと暮らしているきりです。
その晩、私達は宿の二階の部屋に寝転びながら、深沢さんが夕方描き上げて来た雑木林の絵を前にして、いろんなこの村の話をしあっていたが、きょう宿の主に聞いた爺やの話も出た。