しかし、卓子の向側とこちら側で話し合うには、よほど大きな声を出さなければ聞えないような気がした。
そこで彼は食事の間だけ沈黙することにした。
そのかわりに彼は食事をしながら、その食卓掛けのよく洗濯してあるけれど色がひどく剥げちょろになっているのや、アルミニウムの珈琲沸しの古くて立派だけれどその手がとれかかっていると見えて不細工に針金でまいてあるのや、どれもこれもちぐはぐな小皿に西洋草花が無邪気に描かれてあるのやを一々丁寧に眺めまわしていた。
しかし、卓子の向側とこちら側で話し合うには、よほど大きな声を出さなければ聞えないような気がした。
そこで彼は食事の間だけ沈黙することにした。
そのかわりに彼は食事をしながら、その食卓掛けのよく洗濯してあるけれど色がひどく剥げちょろになっているのや、アルミニウムの珈琲沸しの古くて立派だけれどその手がとれかかっていると見えて不細工に針金でまいてあるのや、どれもこれもちぐはぐな小皿に西洋草花が無邪気に描かれてあるのやを一々丁寧に眺めまわしていた。