とうとう梅雨期に入ったのだった。
そんな雨がちょっと小止みになり、峠の方が薄明るくなって、そのまま晴れ上るかと思うと、峠の向側からやっと匍い上って来たように見える濃霧が、峠の上方一面にかぶさり、やがてその霧がさあと一気に駈け下りて来て、忽ち村全帯の上に拡がるのであった。
どうかすると、そういう霧がずんずん薄らいで行って、雲の割れ目から菫色の空がちらりと見えるようなこともあったが、それはほんの一瞬間きりで、霧はまた次第に濃くなって、それが何時の間にか小雨に変ってしまっていた。
とうとう梅雨期に入ったのだった。
そんな雨がちょっと小止みになり、峠の方が薄明るくなって、そのまま晴れ上るかと思うと、峠の向側からやっと匍い上って来たように見える濃霧が、峠の上方一面にかぶさり、やがてその霧がさあと一気に駈け下りて来て、忽ち村全帯の上に拡がるのであった。
どうかすると、そういう霧がずんずん薄らいで行って、雲の割れ目から菫色の空がちらりと見えるようなこともあったが、それはほんの一瞬間きりで、霧はまた次第に濃くなって、それが何時の間にか小雨に変ってしまっていた。